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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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或る魔人のエピタフ

 放浪生活では、知人をつくることは、難しい。
 日雇い労働者たちの、相互に素性を聞き合わない程度の日常会話と同じで、トモダチなる偽善的な響きまでつくような関係に発展することを、どこか拒む傾向がある。
 もちろん、己に引け目があるからだ。
 客観的な履歴や肩書きだけで考えても、一端の堅気として生きていけるものを持ちながら、普通に倣わない生き方を選択するのは、ただの我が儘と決めつけられても仕方がないものだし、世間とはそういうものでなければ、きっと普遍的とは言えないような気もするのだ。とてもやりきれないような気もするのだが、そう判断する。
            ◇
 それでも、と思う。
 もし、私がもう少し、確固たる自信を持っていれば、もう少しマシな付き合い方ができたのではないかと思う人間は、何人かいるのだ。
 そろそろ、危ういものが出てきつつある。
 ゆえに。忘れないように、そして、覚えている限りで、そうした人間たちを――仲間になれたかもしれない者たちの記録をしておこうと思う。
            ◇
 レストラン時代 )
 ボクサー志願の男が、いた。
 彼は私を見て、当初は気が合わないと思ったと、ハッキリ言うような、裏表のないナイスガイである。人格者で、ボクサーになっていたら、正義の味方的な雰囲気をもっていたかもしれない。まぁー、下ネタ大好きなのは、英雄の素質があるからだとしておこう。実際、理不尽な店長とアホな副リーダーと、時々登場するイマイチ頭の足りない新入社員どもの板挟みに遭いながらも、文句を殆ど言わずにリーダーとしての仕事をキッチリ勤め上げた英雄だ。気が利くし、人間的に適わないような、大きなものを持っている、普通の人なのだが、そういう美徳を持っている。まぁー、本人の前では決して言うつもりはないんだけど(たぶん頭を掻いて調子に乗ると思うし)。
 プロボクサーの望みを断念してから、早々とレストランでの下働きを辞めて、家業の介護用品を取り扱う会社を継いだと言う。顔の形が変わるくらい、体格が急変して驚いたものだが、今頃はどうしているだろうか。連絡先を、携帯を変えてから失ってしまったことが悔やまれる。
 手がかりはなくはないからたぶん、意外と難しくないかもしれない。
 すべてに片が付いたら、会いに行こうと思う。
 悲願を達成した、と胸を張っていきたいのだ。これは我がプライドでもある。
            ◇
 レストラン時代 )
 ボクサーのリーダーが辞めてしまってからのレストランで、どうしようもないときに支えになってくれた子もいた。仕事をイイ勢いで我が厨房が捌いていく中で、そのペースに合わせられるフロアー側の者は、2人しかいなかった。宝塚ライクな造形をした美人と、背の高いほんわかしたお嬢様である。
 あの頃は、2人とも大学生だった。今頃はどちらでどうしているやら。もう2度と会うこともないかもしれないだけに、感傷的でもある。
            ◇
 レストラン時代 )
 歳は全然違うけれど、自営業の塾の先生もここで知り合った。帰る方角が同じだったことと、感覚が同じようなところがある(物事を分析的に捉える)ところなどで、話が合って楽しかった。引っ越してしまってから遠くなってしまったことと、オートバイの趣味に昂じているご様子なので、会う機会が減りそして連絡も減ってしまったが、連絡先はある。作品が出来上がったら、試読願を出すと最後に言ってしまったが手前、作品が手元にないと、どうも手土産に不足がある気がして連絡が出来ないのだった。
 最近、記事を更新していないようなところが気にかかるのである。
 維水志先生、ご無事でしょうか……?
 オートバイのご趣味を復活させてから音沙汰がなくなるというカタチは、いやはや、なんと申しましょうか、なんかとてもオッカナイ想像を禁じ得ないのです………!
            ◇
 書店員時代 )
 歳が近い子たちはみんな学生だったが、それでも既卒者はいた。
 この学生たちがインテリ軍団で、知り合いでいると鼻が高くなるような、そういった立派な方々である。天に二物を与えられた優男のプログラミング技術者とか、綽名が「○浜市」と誤変換されるのに気取らない素朴な善人な研究員、経済学の学生論文コンクールで最優秀賞を獲得した努力家、当時の防衛大臣を生で見て惚れて公務員を目指した天然系――などなど。
 みんな、社会的に立派な身分を獲得しているに違いない。
            ◇
 書店員時代 )
 既卒者では、ブラジリアン柔術を学ぶ、ものすごいマッチョさんがいた。雰囲気としては、小型の柘植久慶さんみたいな感じ。警察の事務員を志していると伺っていたが、この柔術にハマりまくっているらしいことは、その体格を見てもよくわかる。サイド・トライアングル・ホールドという技がお気に入りらしい。
            ◇
 書店員時代 )
 声優を目指していた方とかレイサーに憧れた年齢不詳者とか、ここでもそれなりに色んなのがいたが、最も謎めいた人がいた。
 1つしか変わらないのだが、既に勤続年数が長く、その書店の正社員を狙ってずっと勤め続けている姉御さんがいた。常識人で、しかも気が利く。とにかく落ち着き払った美人なのだが、その正体は、かなり深いオタクだったりして。少年漫画を愛好し、油断すると「Type-Moonとか、あの辺のゲームもやってみたい」などと普通に口走る。普段の様子がシャープでクールなだけに、何かの冗談のような方である。最終的には、この人がいるだけで、なんか面白かった記憶がある。
 ……この人は、仕事も出来るし外見だって立派だし性格だって良いのに、なぜフリーのアルバイターとして、こんなところに勤めているのか、いまだによくわからない。
 そろそろ契約社員くらいにはなっているかもしれない。
            ◇
 ラーメン屋時代 )
 ここでは、友人になれそうだという意味では、2人くらいか。特徴的な方々は多くいたが、このページでそういった方々の記録は結構残っているので、割愛する。
 いうまでもなく、ドラクエ信者でラーメン屋の自営を目指して修行する社員氏。勇者は好きだが、どちらかといえば、「正義の味方」が好きなのだという。だから、勇者でなければ、戦隊物シリーズでも仮面ライダーでもイケるらしい。好きな食べ物と正義の味方などの趣味に関して深いだけで、実は結構、普通の人。
 こんな紹介を当人がお耳にしたら、「Kegaさんが言うと、“普通の人”ってホメ言葉に聞こえるから不思議だ」とか地でのたまいそうな気がするのは、別段気のせいではない。
            ◇
 ラーメン屋時代 )
 そして、もう一人は、自動車整備士。
 専門学生なのだが、アニソンを歌いギターを弾いてYou-tubeに載せたりするなど、趣味全開にして生きる若者だ。本来は理科系でかなり上位の大学に在籍していたらしいことは、その知識量や会話内容でわかる。そこにいると笑ってしまいそうなくらいオトボケた不思議ちゃんなのだ。自動車は大好きだが、「高速運転をするのが本来のレースではない」と持論にしているところからも、常識人でありながら、やはりどこか変わっている御仁である。
            ◇
 塾講師時代 )
 ここまでくると、さすがに、年齢の近しい者はまったくと言っていいほどいなくなる。学生となってしまうともう10年くらいは歳が違うし、ジェネレーションギャップが普通になってしまうのだ。それでも序盤の頃は、私より年上もいたし、同年代はいた。いつの間にか、こうした年齢層が入ってくることがなくなった。
 だから、1人を紹介する。
            ◇
 私もなぜこんな体たらくでいるのか、かなり不思議に見えるだろう。
 だが、その御仁は、もっと不可解だった。
 なんと、パイロットのライセンスを持っている。それどころか、その分野での日本記録も持っているような、ホンマモンの英雄である。いつかは、彼の知人の一者であってもみっともなくはないような人物になりたいと、思ったものだ。
 性格だって良いし、必要な技術を一通り身に着けていた。
 だから、仕事の頼まれ方も違うし、頼られ方も違う。
 この辺りで人ウケの差があったし、ここまでで散々な目に遭いながら
(干されたり潰れたり――2度も閉店を体験するなんてあり得るだろうか)
 必死で探してやっとありつけた仕事だけに、こうした同輩は、恐ろしいものだった。
 実際、彼を目の当たりにした人物がその職場にいるなら、ずっと語り継がれるという意味で、存命期間は長かった。辞めてから1年していても名前が度々出てくる。この時代のリーダー講師の功績は立派だったが、それがいくら頑張っても、このパイロットさんの好評には敵わないところがある。もちろん、風評の上の話では、である。
 今の時代にいくらがんばっても、いい評判として名前を残すことはできないだろうな、と思う。結局、右に並ぶこともできなかった。
 ああいう時期でなかったら。私がキレていなかったら――。もう少し、マシな態度で接せられた気がする。
 そういう意味で悔いの残る英雄との邂逅だった。
 終始、ヒネクレた態度で悪かったよ。
          ◇◇◇
 プライドといっても、私の場合は、大きさではない。
 最小限であって、それが完成しているかどうかである。
 だから、滅多なことでは傷がつかない。そういう意味では、プライドを一貫して持つ者の中では素直な方だと思う。でなければ、「老害にはなり得ない」などと学生から言われはすまい。
            ◇
 小説家とは魂の売春婦だとは、誰かに言われた。
 だから、己の正体や本質を探ることに、余念がない。己の魂をしっかり知らなければ、売り物にならないから。
 ただ、己の正体や本質を探る者としては、それはまた別問題だ。
 他の魂と接するのに――私の場合は特に――自信が必要だったのだ。
             ◇
 それは、一般的に卑下される身分になってみれば、肩身の狭さを感じるから尚更だ。
 自慢につながるような話をよくするが、それでも、ひしひしと感じる。
 ――傲慢に、なりきれない、のだ。
            ◇
 だから、あのリーダー講師を見かけたときは、本当に驚いた。大きな口を叩くものだが、それだけに自信があって、その自信がちゃんとした実力や履歴というカタチで裏打ちされている。これくらいの、揺るがない自信が、欲しかった。
 そうであれば、数々の挫折を味わうこともなかったであろう。
            ◇
 これは、闘いなのだ。
 孤独になっていくが、これはそんな闘いだ。
 強さを求めた、流浪の旅路。
 竹の刀を置いてからもうだいぶ経つけれど、
 まだ“強さ”への拘泥は、残っているのだ。
 格闘家でもないし、勇者でも主人公でもなかったけれど。
 各主人公たちの前に、いつか再び登場することもあるだろう。何と言われようが、現れるときは現れる。それこそ、この複雑怪奇な世間では正しい姿勢というものであろう。
 それがサプライズとなるか、迷惑となるかは、そのときの気分次第。
 楽しみとは、忘れた頃に熟成されるものと、断言しておきたい。
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コメント

お久しぶり

こんにちは。
Kegaさんお久しぶりです。

なんか呼ばれた気がしたのでコメントしてみます(笑)

今は地元を離れていて、なかなかチャンスはないですが、またゆっくりお話ししましょう。

おひさしぶりでごんす。

ありゃ、過去形になってしまいましたね。どっちかっつうと塾講師という共通点がある今のほうがコンタクト数が増えてもいいはずなのですが、いかんせん小田原は遠い・・・。いずれにしても長らくご連絡できずに申し訳ございませんでした。
作品が仕上がらずともお会いしたい気持ちは今でもありますんで近いうちに是非。

で、吉報?です。10月末までにまた引越しします。ただ今度はどこかなあ?小田急線沿線(海老名~開成)になることは間違いないのですが・・・。

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