ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ! 切って燃えてソコ抜ける、鉄火の厨房へようこそ!
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「体育会系」かぶれの同僚

 職場に於いてそのユニット(の個性)の分かり易さとは、勤務に馴染む為には重要である。外見とその性格の一致している人物は、周囲が付き合い方を計りやすいからであろう、物事が円滑に進む。
            ◇
 例えば、「体育会系」。「体育会系」と聞けば、誰もが「カッチリした上下関係に理解があり」、「誠実」とか「熱血」とか彷彿とさせる為に、謂わば名刺の如き属性であり勤務環境に於いては、同じ働く者から見てこれほど扱い易い属性は無い。
 だから、若い人の新参者には“体育会系”っぽく振舞う、安っぽい偽物も少なくない。仕事を円滑に進ませる為の処世術だが、基本的に本人は持っていない美徳を周囲の人間に先入観として植えつけるようなものなので、そんな偽物は「いい子ちゃんぶりっ子」と大差無い。「体育会系」と言う真摯で熱い称号を汚しているようで、腹立たしい。
            ◇
 イラストのような、漫画的なくらいの体育会系っぽい同僚がいる。
 別の仕事で似非体育会系を見てきた私は、直感的に本物じゃないなと睨んでいた。
 実際、不器用だが誠実さが伝わるような動きをするが、よく休むし面倒事になりそうな時のやり過ごしやその場凌ぎもやる。慎重さはあるものの、体育会系らしい努力をしない。ギフト包装なんかは今でこそ何とかなっているが、数ヶ月の間、全然包めなかった。「新人」だけにこれくらいは早く独力で何とか出来なければと言う真剣な姿勢が見られなかった。
 体育会系を謳うくせによく喋る男で、「高校時代は柔道をやってました」。「柔道が好きで今再び始めました」。「筋肉トレーニングが云々」。「鍛えてます? うわすごい筋肉ですね」。・・・。話題が格闘技系のスポーツと肉体(筋肉)ばかり。
 休憩中にプロテインを飲んでいたと聞いて、それが中学生の時に流行ったのを私は思い出した。
 筋肉質とか力自慢とは、「男」としての美しさの一つであり、そんな憧憬は男の子であれば一度は抱くものでして、筋肉質な身体を賞賛されたい。
 そんな輩は結構いる。そんな不純めいた目的で信念も無く筋肉を作る人々が嫌いである。肉体労働やスポーツで実用的に生活習慣的に、付いた筋肉を見て比べ物にされるのは不快なのだ。うるさい。だから聞いてみた。
「何に目標とかある? 将来のヴィジョンとかってヤツ」
 大学を出てフリーター。何か見直せるような強さを見せてくれ。そう思って、そんな生々しい話題を切り込んでみた。それで分かったのは、不特定多数がそうであるような「何となく就職」を口にしたので、温度が余計に下がった。柔道も趣味で楽しめれば良いと話し、強くなりたいとか闘争心を感じない。体育会系なら喩え“一般に倣え”でももっと骨のある輩であってほしかった。
            ◇
 そんなわけで偽物煙ったいなーとか思っていたら、人事異動の余波で私とは勤務時間がまったくかぶらないことになって一ヶ月が経った先日のこと。
 交代の時間に、暫くぶりに顔を見たそいつは、少し痩せていた。
 殆ど変わらないが「痩せた?」と聞くと、「マジッすか」と喜んでいた。
 「倒したい相手がいる」。
 と、そいつは嬉しそうに語る。その相手とは、何でも『PRIDE』に選手として出場したこともある男で、どうしてもそんな強者を倒してみたくて仕方が無いとか。
「(趣味とは言え、この男も目標があったのか……)」
 目標に走る。ストイックに鍛えること。戦い、勝つことを求め追いかけること。
 そして、分かってしまった。たぶん彼は体育会系に憧れていて、その雰囲気を愛する人物なのだ。
 ……誰かに似ているような。
「頑張れよ」
 気付いたら自然と出てしまっていた一言。彼に対して初めて本心で喋った気がした。
 そんなことがあったから。晴れ晴れとした気分で仕事に当たれた私であった。
 ・・・ちょっと長いか(反省)。もっとコンパクトにまとめたかった記事と言う寸劇小説。
 自分の理想を他人に押し付けるなって? ・・・難しい問題だね。

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