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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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 騎士マルタ ⑫

 モル坊は「この12月で最も成長した生徒」と認められ、講師たちや同じ中学受験生たち、加えてわたしが受け持つS中学の3年生(この高校受験組の上位集団)たちから、明らかな名声を得ることになった。
            ◇
 勉強をさせるにも無駄が多く、しかも落ち着きが無くて机に向かってもすぐに立ち歩く。
 その上、机に向かうことが出来ても、新しい単元はともかく、国語と算数以外の科目は基本的なことでも、自力で学んでいくことが出来ない――。
 随分と悩まされたものだったが、年末の急成長は目を見張るものがあったわけである。
 目標校の合格を獲れるのではと、現場監督の目からも、遂に期待がかかった。
 成長が顕著なモル坊だったが、懸念が無かったわけではなかった。
            ◇
 困ったことに、目標の国立中学の過去問題が、使えなかった。
 実は、当時志望者がいなかったにも関わらず、昨年の3月の段階でわたしは、その国立中学の過去問題集を中古で購入していた。先見の明というものである。
 だが、実は、その国立中学自体がここ数年の入試問題を非公開としてきていたことが、判った。
 数年前の過去問題が4年分あったものの、算数は計算問題こそあるものの、変則的なもので私立中学では見かけないような問題ばかりが、犇めいていた。偏差値60半ばの私立校で見られるような難問も少なくない。しかも、模範解答には明らかな誤答があったわけである。半分の得点を確実に取れるかの勝負だが、3分の1も得点できない危険が常について回る。実際に解いてみて、モル坊の独力では3分の1もいかないことの方が多かった。
 国語の過去問題も、酷かった。
 こちらは恐らく通常の問題だと思われるのだが、収録されている最古年度の過去問題以外はすべて、著作権に関わる許可が取れなかったらしく、読解長文が掲載されていないのだ。つまり、ほとんどが使用不能ということである。
            ◇
 仕方が無いので、最新の過去問題を書店でチェックしたところ、改訂版が出ていた。
 少しホッとして、手に取って改めてみたところ――。
 なんと、中身はわたしが先んじて入手していたものと何ら変わらず、誤答箇所の訂正も為されていなかった。
 これは詐欺というものであろうか。
 この学校を第1志望にする子供自体が、稀であるということか。所詮は、併設高校の無い中学受験である。3年後には高校受験をせねばならない為に、一般世間はメリットを感じないのかもしれない。
 いや、目標の公立一貫校の競争率は高く、まず合格は勝ち得ないこと。そして、そこを志願する家庭は私立校の併願をしないことが多いことを考えれば、高校受験も充分視野に入れている筈だ。
 なぜ、この国立中学は、これほど軽視されてしまうのか。その理由の1つをまた推測する。この学校のある辺り一帯は、低学力地帯ではない。むしろ、この県下では高学力地帯である。A校B校と2つの公立一貫校にはさまれている、わたしの職場の縄張りが低学力地帯なのだ。それも県下最低ランクの低学力地帯だから、中学校の采配もよろしくない。
 この国立中学を志望することにメリットを感じ得るのはきっと、この地域の公立一貫校志願の中学受験生だ。また、高校受験の塾会社は、学校生活についてなんら関与しない。内申点対策を正確に執り行えているところは無いと言っても過言にならないのだ。
 高校受験を食い物にしている塾会社各社は定期試験対策をよく謳うが、そのテスト範囲の単元を、塾会社独特のテキストから引いて授業を行うだけなのだ。提出物についてコマメにチェックして、学校指定のワークブックや学校で配布されたプリントを定期試験対策として指導している塾会社は非常に少ないと思われるし、きっとその推測は間違っていない。
 頭がホントに良いのであれば、塾講師なんかやらないのだ。だから、学校の勉強がよく出来るようになっただけのボンクラが、塾会社の正規従業員には多いのであろう。仕事のデキる人間がこの低学力地帯で塾をやったら、1人勝ちできるに違いないと思う。
            ◇
 閑話休題。
 つまり、この地域で公立一貫校の入学可能性が低いと判断出来てしまった場合には、私立中学校へ通学する以外に選択肢が無いのだ。しかし、私立校は学費が高いので、断念することになる。また、子供の教育についてシッカリ監督できている家庭であれば、そもそもこの中学受験での勝算や見込みを持っているし、失敗してもどうやって高校受験で挽回するかを知っているので、地元の阿呆中学に通学しても問題は無い。内申点さえもらえれば、あとは当人たちが学校の勉強は高校入試で宛てにならず、従ってプラスアルファの学習に気を付けていけば良いのだ。
 問題は、そうしたことについて正確とは言えない家庭の場合である。
 この地域のそういう家庭である場合に、この国立中学の存在価値は出てくるのだ。逆に、そうした背景でも無ければ、この国立中学の需要理由は今のところ、納得のいく説明がつけられない。
 今はまだ、競争率は低い。
 この国立中学の志願者が増えて競争率が上がることがあるとすれば、きっとこうした地域の特性が背景にある。競争率が上がったときは、こうしたことに気が付いたものが、この国立中学をオススメするようになってきたという証拠になろう。
 未来への予言ではないが、こうしたこともあり得ると踏んで注意を張って、ノウハウをつくっておけば、商売としてはマイナスには絶対にならない賭けとなる。
            ◇
 過去問題は、使えない。
 算数の中学受験基本問題をバキバキ解くトレーニングに慣れてきた。1行程度の問題文の、いわゆる「小問」はまず不正解にならないよう、練習を続けさせ。不安材料の1つである国語は、テキストの短めの読解問題(問題文はB5紙半分適度の規模)で基礎力を研磨することに努めた。
 試験対策は、この程度しか出来なかったわけである。公立一貫校の過去問題から算数系の問題を引っ張ってきて練習させようとも考えたが、類題として似ているとはまったく言えず、数も多くない上に、引用するには手間ばかりかかり能率は上がらなかったのだ。
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