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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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 未完の師弟、或いは

 その人が退職しなかったために、彼女の冒険が、始まってしまった。
 その人とは、彼女の小学生最後の1年間の授業を受け持つことになった、塾の先生だ。
 卒業していったその教え子たちは、その人を「万能」とか「何でも知っていて何でもできる」とか、評していた。
 ――万能だなんて、とんでもない。
 その人は、笑って言っていた。
 ――駄文をしたためることを趣味の1つとしているばかりか、塾のセンセイのわりに、物を知らなさ過ぎるくらいだよ。
「森羅万象すべてを知りたい」
などとすら口にできるのは、きっとそんな自分をよく解っているからなのだろうと思う。
「ミケランジェロが『俺は自分の夢を追いかける』と何か勘違いしたので、その後釜を引き受けることになりました」
 ミケランジェロとは、彼女の以前の担当講師のことだ。
その人だけが、以前の担当だった先生をミケランジェロと呼ぶ。偉大な芸術家の名前で呼ぶのに、それが単純な敬意の表現だけでなく、何かしら含みを感じさせる。
 今年は、何かが起こる――この変な人をまじまじと見ていたら、そんな気がしてきたと、彼女は語る。
 事実、このキッカイな人の指導の結果、確かにオカシナコトが何度か起こってしまったのである。
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