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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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ちょっとしたこと。

 うちのリーダー講師のミケランジェロは男子校出身だからか
(要するにホントに硬派なのではなくて、“硬派”という設定にしておきたいのだ、この人は)、
 同輩の女性講師はともかく
(こっちは親しみと愛を込めて、憎々しげに呼び捨てにしている)、
 女の子を「~~ちゃん」などと、名前では呼ばない。
 歳が離れていてピヨピヨな小学2年生のお嬢ちゃんでさえ「(名前)ちゃん」で呼ばずに、「(苗字)さん」とオカタク呼ぶ。教え子その①なんか塾にいる誰もが「(名前)ちゃん」のカタチで呼ぶため、その呼称が完全に定着している。それだけに苗字の方を忘れがちだから、「(教え子その①の苗字)さんは」と、この人が突然教え子その①の話題を振ったとき、少なくとも私は、その子が誰だがパッとわからないことがある。
 それくらい、頑固な輩ですらある。
 如何せん、指導の打ち合わせも自分のそのときの考えで平気で無視してしまうくらいの人物だから筋金入りで、「鈍そうに見せていながら、実は本当に鈍感で頑固」な困ったちゃんでもある。或る意味、若者らしい若者だ。
 が。
 そんなオトコが。
 その日授業で受け持っていた小3生の女の子を、先日うっかり「(名前)ちゃん」と呼ぶのを聴いた。
 そのとき、私のような輩がいなければ、その歴史的瞬間は闇に葬られていたに違いない。
「あー! (ミケランジェロ)が女の子を名前で呼んだーっ!?」
 教え子の小学生よろしく、授業中にも関わらず、叫んでいた。
「いやっ、お姉ちゃんもいるから、分かりにくいなーと思って、」
 その子の姉貴も塾生ではあるが、隣のブースでそれはすなわち、そのときミケランジェロの采配の許にはいないから、分かりにくいはあり得ない。そんな我が反応に対して本人が笑ってしまっているところから、要するに、これはイイワケである。
          ◇◇◇
 社内誌がある。
 成績急上昇の子などを載せたパンフレットみたいなものだ。
 B4紙を半分にしたもので、最終頁には必ず、この事業部の本部長がにこやかな顔でラーメン屋よろしく腕組みをしている写真が載っている。その横に、訓示だか箴言だか名言らしい言葉が書かれている。
 その言葉は確かに一見もっともな内容なのだが、ある程度生きていれば誰もが普通にそう思うような内容である。こうした言葉はタイミングが大切で、使うタイミングとそのときのシチュエーションがマッチしてこそカッコイイものなのだ。そういうのが名言となる。名言らしい内容をただ自由に述べているだけだから、教条主義にしか見えないのだ。言葉が活きていない。
 先日、とはいっても、24日だったか。パイロットさんと話していてこの会社の話が出た。
「今の退社社員は10名だって。この事業部だけで」
 基本的に正社員1人で成り立っている教室運営である。平たく考えれば、10の教室の運営が立ち行かなくなったことになる。
「つまり、10名を他からひっぱってくるわけだ」
 パイロットさんは淡々とした反応である。
 なんか地上の砂上の楼閣を気が付いていながら、気にも留めないで飛び去っていくような口ぶりだった。
 諸行無常じみていて、妙に“らしくない”感じが面白かった。
 この御仁はどんな傾向かといえば、アメリカ的なダンディさの傾向に見える。エジソンとかライト兄弟を思わせる、風変わりで革新的な、遊びがあるのに合理的な自然体である。そして、穏やかなため、汚い言葉や人を中傷するようなことを口にするところを、なかなか見かけない。奇妙なところでブラックジョークじみた物言いはするけれど。
「もうむちゃくちゃだ」
「破綻するね」
 それからどういう経路があったかは忘れたが、いつの間にか、この会社の上の人間のアホさ加減についての話になっていた。で、上述した例のパンフレットの話になった。そういえば、教え子その④の写真が載ったときの我がコメントがあまりにもな内容
(如何に生徒に干渉しないかが仕事だったかと思います、と書いた)
 でよくも載せられたという流れだった。
「あの部長は、あのパンフレットの自分がみっともないとか思わないのかね。あたしゃあのパンフレットを見る気はないけれど、間違って見えた時は胸糞が悪くなるよ。普段絶対にしないあの部長のあの笑顔のために、何人が犠牲を払っているのか考えたことないんだろうな。バカみたいだよ」
 すると。
 穏やかなパイロットさんがさらっと、
「いや、バカだからバカみたいな自分に気が付かないんでしょ。仕方ないじゃん」
 ムゴイコトをのたまいける。こわっ。
 そんな様子に呆気にとられてから――笑ってしまった。大笑い。
 あんまりにも。あんまりにもな状況だったが。
 普段“バカ”とか口にしないような御仁が「バカ」と言う様は、それだけ威力があるものなのだ。
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