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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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続々々々々

 現塾長は、転任先で最初から単独で塾長になった教室は、ここが初のよう。
 そして、今苦境に立たされている。
 講師数が少ない。特に理科系講師が少なくて、高校生の理科系科目を回すので手一杯である。
 しかも、ここ数か月で退塾者がどういうわけかかなり多いらしく、上から相当に睨まれてしまっている様子。
 なぜ、塾生数が急激に減ったのか。
 この辺りに、商売としての取り繕いの難しさがあるのだろうと、思った。
 単に誠実なだけでは、商売人は務まらないのだ。
 もちろん、誠実さは大切だ。
 だが、退塾を希望してきたら引き止めるための弁も立たなくてはならないだろうし、説得するにも論理的なだけでは、人はついてこないところがある。この辺りで魅力を感じさせることが出来るかが、今の塾長の最大の課題なのだろう。
            ◇
 また、話が逸れたので、閑話休題とする。
 教え子その⑥を、仕方なく「やっつけ仕事」的な学生講師に明け渡さねばならない憂鬱。
 教え子その⑥は、「慶應大学の中等部に行きたい」と小1生の時代から言っていた。
 少し前にも同じことを書いた気もするが、彼の場合は大手の集団塾に任せる方が、力試しにもなるし、そうするべきだと思った。
 この教室――というか、この塾の制度では、偏差値50の学校がやっとだ。授業料を同じだけ払うなら、たぶん日能研さんなどに任せた方が、確実な気がする。周囲の同じ境遇の塾生もいるから、それも刺激となる筈だ。
 集団塾は、小4生から本腰に入る。
 だから、今の小3生の時期はある意味、大切だ。スタートダッシュのための講座だって集団塾は揃えている。早いところ脱退した方が、間違いない。所詮こちらは素人の烏合の衆。集団塾ならプロの講師たちが組んだカリキュラムが徹底している。
 今の塾長は誠実だから、そうした勧めもできる。
 現に、教え子その③がこの教室から去ったのも、それが一因でもある。
            ◇
 だから、夏期講習後の保護者面談を控えた時期に、塾長から教え子その⑥の近況についての報告を求められた際に、それを打ち明けた。
 もし、塾長が否定するようなら、授業後に迎えにくる保護者氏に隙を見て直訴していたであろう。
 日能研にでも行ってください、ここでは慶応中等部は絶対に無理だ、と――。
 今の誠実な塾長は、きっと、教え子その⑥が中学受験生として闘う1年を見ることはできないであろう。そのときには、どんな塾長が回ってくるか、知れたものではない。また、私もこの職場で健在しているかは不確定だ。
 そうなれば、長い目で計画的なカリキュラムを組むこともなくなるだろうし、私やこの塾長以上に、創意工夫や善意の指導を出来る者が来るとは、とても思えない。
 人の入れ替わりが激しく、それも中途半端な学生が多いところからも、この会社はそう思われては仕方がないだろう。
 それは、塾長も分かっているハズだった。
            ◇
 私が塾長にそう進言したところ、予想もしない返答がきた。
「小4くらいまでは様子を見てもらって、小5になったら日能研辺りを勧めてみましょう」
 飄々と退塾を進言したにもかかわらず、怒ることもないのが、傍から見たら面白い光景かもしれない。
 ともかく、小4の終わりまでは在籍してもらう気でいるようだった。
 この時点で、相当に追い詰められていることが、分かってしまった。
 だから、私も何も言わない。
 多少のご都合主義的な狡さはあるが、一生懸命仕事をしていることは分かるから、今の塾長に対してダメージになるような行動は、極力慎重にするようには思っているから。
 退塾を保護者氏に促そうと思っていたが、それを一旦保留する。もう少し塾生が回復するのを待つつもりである。
            ◇
 その代わりに、アレコレ提案する。「手を打った」とはこのことである。
 私の指導下になくなる代わりに、アチコチ工夫の手を緩めないよう、目を光らせる。
 毎日計算問題5題を課し必ずチェックするなど、勉強の習慣を決定的にするよう注意する。これは人任せにもしきれないから、私も可能な限り気を配る。
 だから、課題冊子の編集と、授業前の集合を約束とした。
 これにより、教え子その⑥は少し早く来て、私が状況を確認することを可能にした。
 こうした我が儘くらいは、呑んでもらったわけだ。
 私も手間をかけるわけだから、アイコのつもりである。
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