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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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リアル「バカテスト」

 この教室に来て、まともに試験対策に向き合うように行動したのは、初めてだ。
 もちろん、上からの指示ではない。
 ほとんど独断だが、新任の塾長氏にとっては「それが普通だ」という感じであってくれたので、揚々と復習したり、まだ全然遠い単元の予習をしたりはできたのだった。
 6月30日の授業である。
            ◇
 講師としては、やれることはやった。
 だが、期待はできない。
 教え子その②は社会でギタギタな目に遭うだろうし、理科だってそれほど万全とはいいがたい。算数も、既に他の先生の下で終わっていたハズの<相似>分野である。
「相似は、できるかね?」
「苦手じゃない」
 これ、2週間前の返事。そのとき<速さ>の3公式と<比>を織り交ぜて使う問題を扱っていた。
「図形の中の比、ホンマにわかってる??」
 <濃度>の問題と、理科<回路図>を扱っていた。
「きらいじゃない」
 これ、先週の返事。そして、一昨日。
「じゃあこれやってみて」
 相似の基本問題。
「嫌いじゃないけど、できるかといわれたらできる自信はまったくありません」
「なんじゃそりゃあ!」
 最初から「わかんない」と言わんかい。結局、<相似>を触る時間はなかった……。
「だいじょぶ、できるできる!」
「おのれは~……………!!」
 根拠なく軽く言って笑う、教え子その②だった。
            ◇
 教え子その③。
「動滑車と定滑車、意味解ってる?」
「昨日、問題解いたばっかり!」
「じゃあ、わかってるのね」
「うん。もう何回もやった!」
 塾での授業回数が極端に少ないのは、親御さんの思惑なのだろう。
 自宅で勉強させて、私学を目指す肚なのだ。
 で。
 もちろん、教え子その②ならともかく、これは分かってないなー、と思った。
 教え子その②が天秤や輪軸の仕組みなどの物理<つりあい>をまったく知らないというので、基礎でも押さえるつもりで補習をしていたところにつき合わせたら、案の定、「動滑車は重りを1/2にする」という基本的な性質すら覚えていなかったりする。
 複雑なことを言っても結局理解はしないで鵜呑みにして適当な知識になるのが目に見えるので、とりあえず単純な知識を鵜呑みにさせて即席の効果を図った。
 国語はともかく、算数の<比>、理科、そして、単語こそ頭にあるので得意だと自負する社会である。
「平清盛が行った貿易はなんて言ったっけ? どこのトマリを中心にした?」
「朱印船貿易」
「ぶー」
「じゃあ勘合貿易」
 この便乗した誤答は、教え子その②である。最近、苦手なものは、その③の答えに近いこと言って正解をすくい取ろうとする様子が見える。その③をチラチラ見てニタニタしている。
 答えは、日宋貿易で大輪田泊。
「はい。鎌倉新仏教で、題目といえば?」
「浄土宗!」
 ダーメだこりゃ。
「おい、月曜日に注意したろ? 念仏と題目と座禅。浄土宗は念仏でしょ、ナムアミダブツ」
「わかった、シンゴン宗だ」
「ホントかよ」
「ホントだ!」
 はい。答えは法華宗。
 安土桃山時代なら全部覚えたんだけどなー、とか教え子その③が吐かすので、
「真言宗は弘法大師でしょ。平安時代前期のお話だったでしょ。信長が焼打ちにしたお寺は?」
「………」
「ヒント、最澄」
「伝教大師!」
「何山どこ寺?」
「……長篠の戦?」
 知識はあるのだろうが、「体系化されていない」とは、こういうことなのだ。
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