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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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さみしさという持病

 本日は退勤後、実に空虚な気分になった。
 雨の中。
 がらんとした上り列車。
 くたびれているハズなのに、手持ち無沙汰な、この身体――。
 魚屋の帰り道。なぜだか、ひたすらに虚無的な気分だった。
            ◇
 たとえば。
「30半ばにもなってアルバイトで生計を立てている。それは夢追い人であるからだ――」。
 スロットや競馬はどっちがいいか、パチンコ店はどこが好いかなどの話題を捌きながら、このような話をしてくる男がいた。この仕事は合計で5年――辞めたり再雇用されたりを繰り返しているという。司法書士が目標だといって資格の学校に通っているらしいが、それほど資格の学校にお金を貢いでいるわけではなかろう。
 いや、仮にそうだと考えても。――どちらにしたって、あまり感じよくは見られないだろう。
            ◇
 他人を見るとわかるものがある。
 きっと私なんかもこうやって見られているんだろうな、と確信したね。
 いや、気がついてないわけではないのだが、自分でもそう思えてしまう辺りに、軽いショックがあったな……。
            ◇
 もう1つ。たとえば。
「30弱だが、アルバイトで流れ着いた。元々はスーパーの農産物担当のアルバイトだが、野菜系の市場に流れて、そこからの付き合いで今この魚屋にいる」
 1人で酒を呑むことだけが愉しみ――恐らく中学卒業か高校卒業なのだ。「高学歴なのに、もったいない!」という感じの言葉を既に2度聞いた。きっとずっとアルバイターで苦労しているのだ。
 付き合い関係で仕事場を流れていくとはまた、面白い例だ。
            ◇
 この場合は2つ。
 まず、饒舌になることへの危険性。
 賢い人ってのは自分の自然体でどんな相手(初対面のひとでも喋らない人でも)にでも常に接することが出来るのだ。或る意味ではマイペースを守ることで、相手に人格設定をさせやすくする。
 この辺りは話が苦くなってくるので、省略する。
 もう1つは、仕事とは流れていくごとに、基本的には最初の仕事から、少しずつランクが落ちていくものだと思われる。
 会社についての話で、山崎元さんの話を学生の頃に読んだ。そのときに転職履歴の話が出てきたが、証券会社のランクが転職ごとに少しずつ下がっていく。「天下り」というと少し語弊があるのかもしれないが、そういう感じがしたから、高学歴者だけの話かと思っていたが、どうもそうとも言い切れないところが感じられる。
 それが単なるアルバイターレヴェルでも、それがいえるのではないか。
            ◇
 将来の話をすると、暗さを感じてしまうことが、多くあった。
 直感的だが、何か怯えに似たものが感じられた。
 というのは、仕事を教わるでも、あまり効率的でない。
「頭使わなくていーから楽な仕事だ」
 そう豪語するだけあって、「仕事を教えてやれ」といわれた古参の者が、新人を指導し切れないのだ。
 だって、自分も何をやったらいいか分からないのだから。
 とりあえず、今それが忙しいから手伝っている感じ。
 手伝いとはいえ、この仕事は「仲間たち」というか、溶け込まないとやっていけないところがあるのではないか。指示に従えば良いらしいが、誰も指示をしない――というか、たぶん、習うより馴れろ、なのだ。
            ◇
 仕事は、18時閉店なので、片付けがメイン。
 なんだか、学園祭の後片付けみたいな感じである。
 魚の血で汚れた発泡スチロールの箱が、乱雑に放置され天井に届かんばかりの山積みになっているのを整頓し、壁と言う壁、台と言う台を、クレンザーと金束子でがしがし磨き、あとは水で流す。
 基本的に、汚れや肉片や脂はみんな、水で流す。
 「湯水の如く」という喩えそのままの、水の使いっぷりである。
 高圧洗浄器なるものは、ホースの先を細くしたものを束ねた、水箒だ。
            ◇
 効率よく仕事を教えてくれれば、あまり難しいものはない。
 だが、教え方が非効率的だ。何が疲れるかって、やっぱり人付き合い。
 微妙なのである。
 恐らく、入ってくる人はいても、結構な確率でさっさと辞めていってしまうのではないか。
 なぜなら、挨拶をされて挨拶を返しても、基本的にスタッフは名乗らない。
 まさに学園祭の後片付けみたいだし、終わると食堂にダンゴだのおにぎりだのが置いてあって、それに若いのが群がってタムロする。まさに、学園祭の後片付けそのものである。
 だから何をやるにも、結構はしゃぎながらやる。
 トラックが入ってきて丸太のようなマグロが来れば、マグロを店内に投げて滑らせてボーリング大会が起こるし、研いだ刃物があれば、人質ごっこみたいな刃物を首筋に突きつけるような悪ふざけを普通にする。
            ◇
 それでも、ふざけっこをしているわけではないから、仕事は進んでいる。20時解散と伺っていたのだが、今のところ19時までいたためしがない。
 恐らく、これはこれで大きな家族――それこそ海賊一家のような、まとまりというかそういった仲間意識みたいなものがあるように思える。そりゃ、それは言い過ぎで実際は「あの人が気に食わない」みたいなこともあるのだろうが、なんだか火遊び盛りの少年団といった体である。
 自慢になる仕事をしてきたわけではないが、レストランにしても書店員にしても、あのラーメン屋にしても、精神的にも肉体的にも、それらが遥かにラクに思えてくるのだ。
            ◇
 うーむ。
 ガソリンスタンドで、3ヶ月だった。
 あれは車好きのチンピラじみた輩の集まりみたいなところがあったが、今回はそれにかなり近い。
 12月が心配だ。
 まぁ、現実を知らないで適当な憶測を語るよりも、事実を知って正確な妄想をする方が、いい結果は出せるかもしれない。
 人間たち――こうしたところに集まる人間たちの醸す雰囲気などは、確かにいい勉強にはなる。
 続けられるか否かは別問題。
 とにもかくにも、今の行動にさっさと決着をつけねばならないことだけは、よーく分かる仕事場であった。
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