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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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物思う五分の魂

 ちょっと前の話だ。七月の上旬だったか。
 門が付いた石柱の天辺で、カマキリが日光浴をしていた。
 不動の姿勢を崩さないところから、目の前にちょうど良い獲物が来るのを待っている姿勢でもある。痩せていて5センチ程度の、成虫に満たぬ若い個体。草のないところに長くいたのか、体色は褪せていた。
 そんな彼の後方30センチ付近をカメムシ系の虫が飛んでいった。
 ぎょろり。飛んでいく虫を首だけで追うカマキリ。彼ら虫とは、前よりも後ろの方をよく注意しているらしい。
 目の前で覗き込んでいる私はシカトしているくせに、後ろを飛んで彼の右側50センチ向こうの石柱の角に着地したカメムシをまだ見ていた。
 カメムシ、その場をうろうろ。
 カマキリ、不動。同じ平面上だけに、カメムシが知らずに近寄ってくるのを待っている。
 カメムシが着地した方向を首曲げたままの姿勢で待つこと30秒。カメムシが動いて、カマキリから遠ざかる素振りを見せた。だが、それでもカマキリ、見つめたまま動かない。カメムシが、石柱の角に差し掛かって降り始め姿を消しかけたところで、いきなりしゃかしゃか走っていき、立ち止まらずそのまま駆けつけざま、自慢の鎌によるハント――と言うよりは、勢いのまま跳びついた感じで「いただきます」。
 一部始終を見ていて、ニヤリ笑いを禁じ得ない。
 面倒くさくて(或いは習性と言うプライドで)獲物が近付くのを待っていたのだろうけど、見えなくなりかけて慌てて追いかけていく。それだけ腹も減っていたのだろう。それも普段走らないだろうから、その走り方は不細工で結構一生懸命に見える。
 あまりに人間くさい、とか思っていたら。
 カマキリは食べている途中で私に気が付いたのか、一瞬だけこちらをじろりと見て、すぐにぷいっと背中を向けると、またがつがつやり始めた。
 ……案外、感情とは人間と一部の動物だけのものではないのかもしれませんねぇ。
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