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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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同棲はやっぱりロマン

  葉桜が来た夏

 作者 : 夏海公司  ISBN : 9784048670210

 Ⅰ. あらすじ
 宇宙より飛来した知的生命体のアポストリ。かつて日本国内で戦争が起こったが現在では、暫定和平協定が結ばれるに至った。しかし、そんなアポストリに対する世間の目は決して日和見的と言えるわけでもなく、世論はその処遇を巡って対立していた。そんな折、アポストリによる犯行と思しきテロ事件が起こる。アポストリを擁護する現政権――主人公の父親の党派が敗れれば、和平協定を締結した者たちはおろか、アポストリへの排斥も強まってしまう。
 アポストリの居留区内に住む主人公の学はかつてアポストリに家族を殺害された過去の持ち主ゆえにとにかくアポストリを嫌悪していたが、政治家の父親による思惑の末に、葉桜との同棲を強いられてしまう。葉桜はもちろんアポストリである。当然ながら険悪な関係が繰り広げられるが、大使の息子を狙ったテロ事件から助けられることで、考えが変わらざるを得なくなり、戸惑うことになる。しかも、葉桜もまた家族を人間の手によって失った経歴の持ち主であることが判明してくる。学の父親の思惑とは、そんな因縁の二人が仲良くしているところをアピールすることでアポストリに対する世間の偏見を払拭しようとする狙いだった――。

 Ⅱ. 所見
 Peach-Pit『DearS』のちょっとマジメ版と表現すると分かりやすい、第14回電撃大賞選考委員奨励賞受賞作品。
 「美少女との同棲」とは今となっては珍しいものではないしそのお約束事はワンパターン化しているが、相変わらず魅力的な条件ではある。そのお約束とは、一つ屋根の下で起こるあんなことやこんなこと。最初は険悪だが徐々に仲良くなってきゃっきゃっわいわいとか。ただ、それほど不純な描き方をしていない辺りに、清々しさを感じる同棲ではある。それは度を過ぎないと言った反面で、そう言ったオーソドックス物として評価をするのであれば、明らかに物足りなさがあるのかもしれないゆえにこのポイントに関しては一長一短だが。
 文章が上手い。とても的を射た書き方をするので読みやすい。主人公のとりまく日常環境を構成する要素にも説得力があって、かなりの出来栄えを感じさせる。特に政治的判断に関わる会話の応酬、バトル場面の描写なども筆力が見せられており、登場人物たちが確かにプロっぽく見える。しかも随分と几帳面にまとめきっているので総合的なクオリティは高いと言えるだろう。実際、選考結果のランクに首を傾げたものだ。
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