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ローリン・ダイニング!!

Rowlin’Dining! すべての作品は、新作の材料だ!
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オーダーストップ

 「定期購読を止めてもらいたいんだけど」

 定期購読のお客さまは当然ながら店頭でよく顔を合わせるので、必然的に顔馴染みになる。それで特徴をお持ちになっていたりすると顕著で、擬似愛着みたいなものを持ったりする。
 例えば、必ず「領収書を切ってください」と指定してくる方なら、言われる前に動く。もちろん、お宛名などに入れる名前も言われなくても「承知しております」と無言のやり取りがあるわけだ。余談だが、お宛名には「○○銀行△△課◇◇経済研究所××部」と言った長い常連さんもいた。

 このお客さまもそんな特徴をお持ちであった。紙の封筒に定期購読雑誌を入れて提供するのだ。

 このお客さまは随分と長い常連でした。最初、私がこのお店に来た頃はろくに口も利いてもらえず、無言で現れる。すると、必ず知っているスタッフがいていつもの定期購読の雑誌を無言で取り出してきて封筒に包んでお会計、という形だった。
 そんなわけで無視されていた最初があって、段々馴れてくると「じゃ」と言う手振りをなさるし、こちらもレジどころか、入店した瞬間にもう例のブツを用意していることが出来た。そのうちに「ありがとう」とか暖かい声をかけてきてくれるようになって、勤務して一年ちょい、初めてそんな声を聞いたときは驚いた。意外にダンディな声なのだ。

 サラリーマンでいらっしゃることは外見やご来店時刻でも明らかだったから、このような「普段」が当然のように当分は続くと誰もが思っていた。
 だからこそ。上記のいつもにはない台詞でいつもにはない展開があった時はさすがに驚いたと同時に、何故だか感傷的になったものだった。通勤地が変わるとのこと。それで契約はストップとなった。ただ今後は、最寄の私どもの看板の店でまた新たに定期購読の契約をされるとおっしゃったので、もちろん、その場で次回から通ってくださるお店に連絡をした。
 電話で最後に付け加えた。
 「お品物は封筒に入れてお渡ししてください」。
 いつか近くを通ることがあったら、うちのお店に寄ってくれるといいなあ、と思いながら。
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